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2008/04/27


IDXオンライン・リサーチ: 米国の高級顧客(Luxury Buyers)は財布の紐を固く結ぶ

idexonline.com

高所得層を相手にしている小売業は、これまで不景気に対してあまり心配をすることはなかった。歴史的に見て、それは、おおよそ正しかった。

景気の状況に関わらず、資産家顧客は安定的にある程度の消費を続けてきた。しかし近年、彼らのような富裕顧客も消費を控えているいると、高所得者相手の業者は報告している。

宝飾業界では、世界で最も有名な宝飾商、ティファニー(Tiffany & Co)が、第4四半期での5万ドル以上のジュエリーの売上が、昨年に比べやや下回っていると報告している。この価格帯の商品は、ティファニーの中で、これまで最も早い成長を遂げてきた。

他の宝飾商に報告でも、顧客の購入額は減っているという。これまで、4〜5カラットのダイアモンドを買っていた顧客が、3カラットを買うようになっているという。もしくは、新たなものを買うのではなく、所有しているものを再加工するだけの顧客も増えている。

また、他の高級製品商(luxury merchants)も売上の低迷を報告している。コーチ(Coach)、ノードストローム(Nordstrom)、サックス (Saks)、(Neiman Marcus)などの売上は、減少しているか、増加していてもごく僅かだ。超富裕顧客御用達のヨーロッパブランドでさえ、厳しい環境にある。イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)、ニーマン・マーカス(Stella McCartney)、バレンシアガ(Balenciaga)を所有するPPRグループや、カルティエ(Cartier)やボーム&メルシエ(Baume & Mercier)のスイスを拠点とする親会社、リシュモングループ(Compagnie Financiere Richemont)も、成長が減速していることを報告している。

高級顧客(Luxury Shoppers)を不安にさせる要素

高級製品市場(luxury goods consumption)専門の調査会社であるユニティーマーケティング(Unity Marketing)の調査報告によれば、高級顧客は、4つの要素に不安を抱いているという。(1)米国政府に対する信用 (2)住宅ローン危機 (3)石油とエネルギーの価格高騰 (4)世界主要通貨に対する米国ドルの下落。

その結果、高級顧客は財布の紐と固く結んでいる。

近年、他に何が変わったのだろうか?IDEXオンライン・リサーチは、主要な原因をもう1つ見つけた−全ての高級顧客が世襲された資産家(オールド・マネー)ではないということだ。1990年代、年間10万ドル以上を稼ぐ世帯は、約10%であった。今日、その数字は18%に達し、2010年までには20%になると見られている。今や、約半数の高所得消費者は、新たに富を得た人々(ニュー・マネー)だ。ニュー・マネーは資産を消費に回すよりも、その多くを、株式や不動産に投資している。しかし、株式・不動産はこれまで厳しい状況が続いており、彼らは、紙面上はとんでもない資産を持っていても、自分達が裕福であるとあまり実感できていない。

オハイオ州、ワージントンを拠点に消費者の調査を行っているBIGリサーチ(BIGresearch)によれば、高級品消費者(luxury consumers)は大きな買い物は先延ばしにしようとしているとのことだ。彼らは車が欲しいと思っても、なかなか実際に買おうとは思わない。彼らの頭をよぎるものは、「もし、数ヶ月先に、お金が必要になったらどうしよう?」という考えだ。

市場はいつ好転するのか?

全国小売連盟(National Retail Federation)は、出版している雑誌の2008年3月号に、「Luxury’s Shrinking Purse」というタイトルの記事を載せた。記事は次のように始まっている。「彼女は、クローゼットいっぱいの高級ハンドバック(luxury handbags)、中身が溢れるほどの宝石箱、そして、デザイナーブランドのドレスが詰まった引き出しを得た。しかし、高級品消費者(luxury consumers )は、景気低迷と混乱する金融市場に対する不安の犠牲者にもなりうる。」

いつ、高級品消費者(luxury shoppers)は、財布の紐を緩めるのだろうか?国際工業デザイン団体協議会(International Council of Shopping Centers)のチーフエコノミスト、Michael Niemira氏によれば、米国消費者は、今後9ヶ月から1年間は、現在の消費傾向のままであるという。消費の回復は、2008年年末商戦に間に合うか、 2009年にまでずれ込む見込みだ。

ほとんどの経済専門家と業界ウォッチャーは、現在の緩やかな小売業の景気が安定するのは、大統領選挙が終わる11月になってからだろうと見ている。そして、誰が大統領になろうとも、富裕層の心理状態は上向き、高級製品(luxury goods)の購入も増えるだろうとの大方の予測である。

経済専門家のNiemira氏は、高級品消費者(luxury shoppers)は他の消費者よりも、株式市場とのつながりが強いことを指摘している。市場の動向は、彼らにとっては大きな不安要素だ。「不安は消費を考える際の心理状態には悪影響だ。」と彼は言う。すなわち、高級顧客は依然400ドルのハンドバックを買うだけの経済的余裕はあるものの、心理的な余裕がなく、購入を遅らせている。

米国リサーチグループのリサーチャーが言うには、富裕消費者の資産のうち、60〜70%が株式市場に関連しているという。さらに、中程度の所得の消費者も、株式市場と連動した401Kプランを持っているだろうと言う。現在の信用危機が解決したとしても、株式市場は平均変動率以上を示すと考えられる。たとえ、これら消費者が資産を、直接、市場から引き戻さなかったとしても、紙面上の多額の評価損が、彼らの消費行動に悪影響を及ぼす。

どのような企業がもっとも有望なのか?

景気停滞の間であっても、堅調に売上を伸ばす企業はあるだろう。例をあげれば、国際的なビジネスを行う小売業者だ。国際市場から売上の41%をあげるディファニー(Tiffany & Company)は、2008年、米国以外地域からの売上増を見込んでおり、それら地域での新規出店を加速させている。

米国内のみでビジネスを行う企業はどうすればよいのだろうか?全国小売連盟によれば、大規模で知名度のある高級ブランド (luxury brands )は、小規模で知名度の低い商品(luxury items)よりも有利であるという。それはなぜか?消費者は購入に慎重な期間は、馴染みのあるブランドに立ち戻るからだ。

富裕層の消費の低下にも関わらず、高級製品を扱う多くの小売業は、中所得者をターゲットとする大衆市場相手の企業よりも、多くの売上増加を続けている。ビジネスコンサルタントによれば、上流市場への進出を考えている企業にとって、いまは良い時期であるという。

ユニティー・マーケティングは、富裕消費者は、目前のインフレ傾向を避けるために、様子を見て、輸入品や高価格品を買うだろうと予測している。さらに、ユニティー・マーケティングは、高所得消費者が、数年後により高い価格で売ることを見込んで、不動産を現在の低価格で買うだろうとも予測している。彼らは、そこで利益を得て、さらに戦略的に高価な物件を手に入れるだろう。

ユニティー・マーケティングはまた、米国のファッションデザイナーは、よりマーケティングとブランド構築に力を入れるべきだと提言している。宝石商は、この提言を注意して受け入れるべきだ。





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