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2009/03/02


ミラノではロシア人がトップに

the International Herald Tribune

かつて、10年ほど前までは、ミラノは米国人旅行客で溢れかえっていた。ドル高リラ安、そしてその後は、導入されたばかりのユーロに対して優位を誇っていたドルを背景に、イタリアの高級品は、彼らにとってバーゲンセールであった。トッズ(TOD'S)やグッチ(Gucci)のショッピングバッグを持って、外国語をしゃべりながら、我が物顔で歩いていた。

しかし、今やミラノの高級ショッピング街で、米国人を見つけることは難しくなってしまった ― ニューヨークの雑誌編集者や買い物客の集まる、年4回のファッションショーを除いては。2003年から始まったドル安と、つい最近の金融危機を背景に、ドルは存在感をほとんどなくしてしまった。また、同様に衰えが顕著なのは日本人である。彼らはかつて、世界とプラダショップを一気に征服してしまう勢いだった。

そして近年は中国人が彼らに取って代わった。中国人は、上流の生活を体験することに熱心である。

しかし、彼の出だしはこれまで波乱である。「中国人顧客は増える一方だ」とフォーシーズンズの5つ星レストラン、IL TEATRO(イル・テアトロ)のマネージャーのPaolo Milani氏は述べる。ここでは、ディナーが1人当たり、200ドル、もしくは、257ドルする。「食器の使い方で、彼らが日本人でないことはわかる。慣れていない。」

イル・テアトロも、街の他の高級向け店舗と同様、顧客が減っている。「街の中心では観光客が大幅に減っている」とトッズグループの副会長であるAndrea Della Valle氏は見ている。

では誰が買い物を続けているのだろうか?観光客が税の払い戻しを受ける、空港オフィスを見れば一目瞭然である。Global Refundという企業が追っているこのデータによれば、自国経済が受けている打撃にもかかわらず、ロシア人がミラノ最大のファッション顧客であり、2008年の免税額の38%を占めている。

また、ウクライナは、ミラノの免税ファッション売上の6%を占め、単位購買に対する消費額は最も大きい ― ロシアが968ユーロ、米国が925ユーロ、中国が789ユーロであるのに対し、ウクライナは1,556ユーロである。宝石だけに絞ると、ウクライナ人の平均額は、驚きの12,000ユーロである。

ロシア人、アラブ人、ウクライナ人、中国人は、2007年から2008年の間に、順調にファッション消費が順調に伸びている。そして、当然のごとく、急激に消費が減少しているのは、米国と日本であり、それぞれ38%、24%減っている。

ミラノの免税ショッピングは、昨年末にかけて深まった世界経済危機の影響にもかかわらず、2008年は全体で2%増加した。

ミラノの各店舗は、ニューヨークやロンドンのように大幅な割引セールを行ったわけではないが、決して不景気に影響を受けていないわけではない。

コルソ・コモ・ブティックのオーナーであるCarla Sozzani氏は、2008年の売上を振り返って、2007年に比べ「若干減少した」と述べ、特に11月は酷い月であったことを引き合いに出した。「しかし、正直に言えば、もっと悪くなって入れもおかしくはなかったと思います。ニューヨークはもっと酷かったのだから。」 Sozzani氏は、自身の女性ファッションビジネスは、男性ファッションよりはましであり、さらに、バルマン(BALMAIN)、ランバン(Lanvin)、バレンシアガ(Balenciaga)などのファッション性の高いブランドは、まだ、全額原価での販売を続けていると述べた。

Sozzani氏の売上の半分はミラノからのものであり、人々が非必需品や割高な商品に対する購買欲がやや減退していることの証拠がここに見られる。

クリスマスの少し前、ミラノの通りは、買い物客の代わりに雪に敷きつめられ、人々はファッションから遠ざかっているように思われた。しかし、若干の例外があり、それは、ティファニー(Tiffany)、モンクレール(Moncler)、ホーガン(Hogan)の軒先であり、多くの人々が溢れていた。「ホーガンは、まさにその代表だった」とDella Valle氏は強調した。「今、一番売れ行きの良いブランドだ。」

これは多分、ティファニー、モンクレール、ホーガンは、手に届きやすいブランドとのイメージが定着しているためだ。そして、300ユーロの編み上げ靴は(キツネ皮のキルティングジャケットは言うまでもなく)、通りが雪で滑りやすくなったときに、重宝されるアイテムだからである。Della Valle氏によれば、イタリア人は、まだ買い物を続けてはいるものの、無駄な買い物はしなくなった。「今、彼らはより注意深くなっている」と彼は言う。「彼らが商品を見る目は変わってきている。」

ロシア人の視点も変わりつつある。フェンディ(Fendi)の販売員によれば、ロシア人の消費は未だ大きく、一流の毛皮などに大きな購買意欲を見せているという。「しかし、彼らはこれまでのように、クロテンの毛皮に15万ユーロを落としていくようなことはしていない」と彼女は言う。「最近はもっぱら7万ユーロのキツネ皮です。」





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