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2010/03/17


マーケティングリサーチを有効に活用する

Forbes

大枚をはたいてデータを集めても、多すぎるデータは無意味である

デパート業界の有力者ション・ワナメーカー氏はかつてこう言った。「私が広告に投じた金額の半分は無駄であった。 厄介なことは、どの半分かわからないことである。」 ワナメーカー氏の問題には、今日のマーケティング担当者も頭を悩ましている。 直接販売を除いて、広告メッセージと消費行動の間にどのような関係があるかはわからないのである。

大きな問題の1つは、現在の調査ツールでは、『行動』を促すために投じたマーケティング投資を十分に評価できないことである。 その主な理由は、誰かが広告を見てから購買にいたるためのすべてのステップと追跡することがほとんど不可能だからである。 その結果、これまで市場調査員は(実際の顧客や見込み顧客に特定の製品や広告についてどう思うかを聞きながら)『認知』や『態度』などの、必ずしも『行動』を予測できるわけではない数値指標を用いざるを得なかった。

例えば、誰かがBMWが一番の車であると思っても、その人はその車を買うとは限らない。 また反対に、別の誰かが自分の住宅保険会社に低い評価を下しているからといって、保険会社を乗り換えようとするとも限らない。 広告調査財団のCROであるジョエル・ロビンソン氏はこのように考えている。 「『態度』と『認知』は、それらが『行動』と直接関係する場合に限り重要である。 そうでなければ、それらは誤った答えを導きかねない。」

このように、ワナメーカー氏の問題を解決することは難しい。 しかし、貴重なリサーチ予算を賢く使う方法をアドバイスすることはできるかもしれない。 その方法としては、次の5つの質問を自分自身に問いかけてみるのが良いだろう。

1.あなたの知りたいことは既存の調査手法で分かるものなのか?

多くのマーケティング調査は、キャンペーンが”効果的かどうか”を評価することを目的に実施される。 この場合、広告を見た人の記憶や理解度を測定する方法がとられることが多い。 しかし、マーケティング担当が本当に知りたいことは、特定のメディアを通して特定のメッセージを送った場合に、それが消費者の行動につながるかどうかである―これは全く別のことである。

2.知ることができるからといって調査をする価値があるのか?

自分の利用している金融サービスが”優れている”と考えている人の数が、昨年8.7%増えたという調査結果はおもしろいかもしれない。 しかし”優れている”と思うことと、資産投資の間に明らかな関係がなかったらどうだろう? 自社の予算を使う場合、単に「知りたい」だけではこの調査は投資に値しない。

3.定性調査は意味のある情報を引き出せているか?

フォーカスグループ(座談会)などの定性調査は、新しいアイデアなどを生み出すのには良いが、確からしい結果を導き出すことには向いていない。 テーブルを囲んだ参加者、例えば8人に挙手を求めたとしても、その統計的価値はゼロである。 フォーカスグループのモデレーターが提出するレポートに”ほとんどの人がこう言った”や”ほとんどの人がそう思わなかった”などが多く書かれていることがあるが、雑音でしかない。

4.調査をしなくても自分でデータが追えないか?

もしワナメーカー氏が現代の誰かとランチをするとしたら、インフォシス社のサンディープ・ダドラニ氏がリストの上位に上がるだろう。 ダドラニ氏はインドのIT企業インフォシス・テクノロジーの小売・CPGクライアントサービス部門を率いている。

彼は、顧客が”実際の世界を認知できること”を目標としている。 それを実現するために、彼の部門のコンサルタントは店舗をさまざまなソフトにつながった見えない無線センサーで囲い、店舗マネージャー達が店舗のあらゆる場所から情報を追跡できるようにしようとしている。 買い物客は咳用シロップのディスプレイで足を止めているか? どのくらいそこにいるのか? そのとき棚にストックがあるのか? 彼らは値踏みをしているか? 何人がそれを購入したのか? また、買い物客もその無線ネットワークを携帯電話で利用して、買い物リストの商品やクーポンなどを探すことが可能である。 「このシステムでは『行動』につながる動機に関するインサイトを得ることができます」とダドラニ氏は言う。 「例えば、我々のシステムでは、ある広告が実際に買い物客の購買意欲を促進させたが、広告とレジの間のどこかでその意欲は途切れてしまったということなどが分かります。」これは非常に有益な情報である。

5.何に投資をしようとしているのか?

新たな分析方法を試みているのが、マーケット・シェア・パートナーズの最高責任者のウェス・ニコルズ氏であり、彼はマーケティング投資に対する財務収益を予測するソフトウェアを開発している。 ニコルズ氏とかれのPh.Dチームでは、販売における特殊要因をどのように除外するかや、それらの要因が互いにどのように影響しあうかについて研究している。 大企業では、小企業では余裕がないくらいの大金を、定期的にこのような研究に投資している。 「マーケティング担当者は、多くの人が今後も買ってくれるであろうとか、『態度』で『行動』が分析できるなど、単純な推測ができないことを十分承知しています」とニコルズ氏は言う。 「だから、我々の目標は、クライアント企業の生産性や収益に大きなインパクトをもたらす、現在仕掛かり中のシステムを完成させることなのです。」

ワナメーカー氏が賞賛するであろう取り組みである。


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