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2016/08/19


越境ECがインバウンド消費に続く、中国消費者からの新たな成長市場に

ここ数年、日本市場は中国人旅行者による、いわゆる「爆買い」の恩恵を受けて受けてきた。秋葉原の電気街や銀座のデパートに多くの中国人旅行客がバスで押し寄せ、電気製品や高級ブランド品、日用品などを買い求める様子はもはや見慣れた光景となった。

観光庁の調べによれば、日本を訪れる中国人旅行者の数は2014年から増加を続け、2015年にはおよそ500万人にも達した。2016年に入っても訪日中国人の数は増加を続け、上半期(1-6月)の人数は前年同時期を上回った。また、訪日中国人による日本での消費額は2015には前年の154%増の1.4兆円にも達した。

訪日中国客数の推移

国籍・地域別の訪日外国人旅行消費額

このような中国人による消費の増加の背景には、中国国内で製造される製品に対する品質の不安や、模造品などの問題がある。最近も、日本メーカー製として国内の人気サイトで売られていた製品が実は模造品であったとの報道があったと伝えられている。少しばかりのお金を払っても本物で安心のできる日本の製品を手に入れたいという中国消費者のニーズは高まりを見せている。このようなニーズに反応をして、中国や日本の企業はより買い物が簡単にできるような新たな動きを見せている。

ショッピングアプリの豌豆公主(ワンドウ)は、便座カバーから歯磨き粉まで、中国国内の消費者のために日本にいる買い付け業者が製品の買い付けを代行するアプリであるが、中国の消費者の間で大きくダウンロード数を増やしている。また、Amazon.co.jpは今年に入り中国語専用サイトの運用を始め、通常よりも手ごろな配送料での中国本土への商品の配送を始めた。このような購入手段の多様化により、インターネットを用いて日本の製品を購入する中国消費者の数は増加見せており、その消費額は訪日した中国からの消費者によるインバウンド消費に匹敵する額になっている。海外の消費者によるこのようなインターネットを通じての海外商品の購入は「越境EC」と呼ばれているが、経済産業省の調べによれば、中国から日本への越境ECの額は2015年におよそ8000億円に達し、2019年には2兆3400億円市場になるとの大きな成長が見込まれている。

中国消費者によるインバウンド消費と越境ECの推移

今まではクレジットカードを持って訪日する中国人を待つだけでよかった日本の小売企業であるが、これからはオンラインで起こっている新たな動きに対応をしていかなければならないようである。実際に中国向けのECサイトを新たに立ち上げることを検討しているデパートもあると言われている。何もしなければ「爆買い」ブームが通り過ぎるのもそう遠い話ではないかもしれない。

<了>






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